『本好きの下剋上』完結後、老後の楽しみにとっておいた本の再読を再開しました。『デルフィニア戦記』をスタートにした茅田砂胡さんの一連のシリーズを読み終わり、小野不由美さんの『十二国記シリーズ』を読み進めています。
しかしこのシリーズ、前半はNHKでアニメ化されたこともあり、わりと記憶に残っていて、アニメで印象深かったシーンや違和感のあったシーンが本にはなかったことなど、記憶違いには気づけたのですが、アニメ化されていない分は、お見事にすっぽり、あらすじさえ記憶から抜け落ちておりました。
『図南の翼』は、これまでの作品にも出てきた恭国王珠晶の物語。
「誰も王にならないなら私がなる」という惹句はずっと覚えていましたが、登極するまでの物語であることすら忘れていました。
正体隠している主要登場人物は別作品にも出てくるので、謎めいたセリフの意味も理解はできましたが、主人公がどう動くか、ワクワクしながら読みました。
そんな中、ラスト近くにまるで御夫君綾辻行人氏『十角館の殺人』のあの一文のような、衝撃の一文がありました。
延国の物語『東の海神西の蒼海』は親に捨てられ妖魔に育てられ、初めてできた友を裏切らざるを得なかった少年の物語でもありました。
ラストで、妖魔が人と暮らせる日を待つと言って去っていった青年。後日談として、100年後妖魔を飼うことを認める発布が出されたことが書かれていたので、その後彼は人の世界で暮らしたのだと思っていました。
『図南の翼』はおよそ400年後の物語。その中のたった一言で、あれだけ心がすさんでいた彼が人を守る立場になっていたことを表していました。
その一言で私の心はほっこりしたのです。
どんなシーンだったかホントは詳しく書きたいけど、あまりに衝撃的だったのでネタバレ自主規制します。
このシーン読んで、やっぱり本職の作家さんの文章力というのは、すごいものだと改めて思いました。
思い返すとどこも本当に計算されつくして書かれていた気がします。
感動の中読了して、さあ次だと本棚に手を伸ばすとなぜか手にしたのはまた『東の海神西の蒼海』。
ほえっと残りのシリーズにかけてあった書店のカバーをはがしてみると、3冊もダブり購入しておりました(汗)
ホワイトハート分はすべて図書館で借りて読んだあとに購入したので、その後再読したのかしなかったのか、それさえ覚えていないけど感動のあとだっただけに、ちょっと悲しい発見でした。